空海の情報空間と、システム的思考方法。
最近、真言宗の宗祖・弘法大師空海さんが神保町サロンで話題になっている。メンバーの数人が高野山にいき、その空気感を伝えてくれたのでメモとして残しておこうと思った。
空海が伝えたのは「密教」だが、仏教をさかのぼっていくと、古代インド思想にたどり着く。古代インド思想は、紀元前1500年くらいのものが、西洋の文献に記されているようだ。原始仏教や根本仏教、primitive Buddhismと呼ばれている。
このころは、自然や集合意識的なものを「梵(ブラフマン)」と呼び、個人の自我的なものを「我(アートマン)」と呼んだ。そして、これらを統合するために、「梵我一如(ぼんがいちにょ)」という境地にたどり着こうとしていた。
密教はこういったところにルーツを持つが、これらと違い一番特徴的なところは、「即身成仏」だろう。空海は密教以外を「顕教(けんきょう)」と言ってちょっと批判的に捉え、多くの顕教は、悟る、成仏するためには、何代にも渡って生まれ死に変わりながら、修行が必要だと説くが、密教では修行によって現世で肉体を持ちながら成仏することができると説いた。
「即身成仏」とは、生まれとか関係なく修行すればみんなも心地よい境地に行けちゃうよということだ。
それが見事に表されているが、空海が24歳の時に書いた「三教指帰(さんごうしいき)」だ。当時は、「聾瞽指帰(ろうこしいき)」とも呼ばれていた。
8500字数に及ぶ漢文で、「文選」「芸文類聚」「初学記」を辞書代わりに、「史記」「漢書」「三国志」「世説新語」「顔氏家訓」、儒教論では「四書五経」、道教論では「老荘」「准南子」「抱朴子」、仏教論では「法華経」「金光明最勝王経」などから情報を得て編集しているという。
松岡正剛はこの空海の作業のことを、「日本最初の総合編集思想の試み」と言っている。そりゃそうだわなー。空海のもっていた情報空間っていったいどんなのだろう探りながら近づくととても楽しい。空海は遊び系の人かと思っていると、けっこう秩序系でもあったりする。マンダラを見ているとそう思えてくる。システム的な循環を成立させるために無理をしてくることもありそうなのだ。
※空海の著作ペディア(三教指帰)
http://www.mikkyo21f.gr.jp/kukai-writing/post-105.html
▼サロンメンバーTさんから見た高野山。
1200年以上、この町のシステムが続くのは理由は何か。宿坊は外観、お勤めが無いと、ただの民宿。しかし、歴史を調べると、昔から宿坊をやっている。
生きているうちに救われたい、意識の弱さ、という人間の弱さに対して上手に入っていっている。真言宗では即身成仏という概念を使って、理論的に上手に積み上げている。
空海は平安時代の政治の仕組みに入り、高野山を一つのメディアとして使い、参拝や座禅によって身体性を支配して、マンダラなどを使って精神に入っていく。マンダラはGUI。さらにシステムが継続するように、教育を押さえている。小さい町の中に保育園から大学院まである。
真ん中から壇上伽藍のあたりは、結界というか、洗脳されてしまうというような感覚が強くて、とてもキツかった。軍隊にはいっちゃった。かみくいっしきむら、北朝鮮みたいだった。きっと、洗脳されちゃうのが怖い、いやだという感覚質なのかもしれない。
奥之院の方にいくと優しい感じがする。灯篭とか、墓石とか増えてきて、人ってこんなに救われたいんだなーと思った。立てた人の思いが伝わってくる。救われたいという思いが高野山を永続させたいと思っている。それはここに眠っている人もそうだし、ここにお墓を立てた、残されている人もそう思っている。
このシステムで人が救われることについては、これはこれで、まあいいじゃんって感じ。でも、私がここに眠りたくない、個人的にはあんまり心地よくないなーって感じ。
▼サロンメンバーOさんから見た高野山。
空海の時代、思考、精神、身体は一体だった。近代になり、デカルトが心身二元論を唱え、近代は精神、身体が分離した。そうして抽象的な数学の独立につながった。
奥山的には一体に戻ったほうが良い。身体と精神が一体のところ。現代人は、身体の声が聞こえなくなった。「大自然⇔身体⇔精神」こういったところを原稿にしようとしている。
脳みそにどうして、意識が立ち上がるのか。個に立ち上がる世界は脳みそだけではない、だと違う。 身体で感じる。イソギンチャクは脳みそがない。腸がその変わりをしている。イソギンチャクにだって世界が立ち上がっている。
サロンでは継続的に空海に関する情報を集めていきます。語りたい方はぜひサロンにご参加くださいませー。
参加要項
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誰でも参加オッケーです。途中参加、途中抜けもOK
開催時間は毎週水曜日の11:30~15:00頃までです。
参加費は1000円(会の運営費に充てています)と昼食代 + 喫茶代の実費です。
神保町はおいしいランチのお店が多く、カレー、洋食、老舗の天ぷら、和食、個室で中華など豊富です。ほとんどが1000円以下で召し上がれます。レギュラーメンバーには神保町の出版者出身の人間が何人かいて、ランチのお店選びは任せてください。
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